甘いのは君。

ーねぇ、君は知ってる?君の笑顔は僕を狂わすことを。

一君は実は甘いものが好きらしい。
本人はあまり皆に知られたくないらしいけど。
一君と恋仲の僕は知ってる。
「ねぇ、一君。あのケーキ食べたいの?」
はっと我にかえり 言われたことを理解する一君。
その目線の先には
桃や葡萄などが沢山のっているチョコレートケーキ。
しかも、飴細工で いろんな色のハートがのってたり、、、。
―確かに、あれは美味しそうだな。
少し顔を赤らめてうなずいた。
「あぁ、、、。」
消え入りそうな声で 恥ずかしそうに。
嗚呼、彼を愛しく感じてしまう。
「あれ、買って帰る?」
「!」
びっくりする一君。
やっぱかわいい。
「だって、あれは1つ1000円もするのだぞ、、、。あんな高いものは買えぬ、、、。」
もごもごと名残惜しそうに言う一君。
―子供みたい。
「何も君が買うなんて 言ってないでしょ。 僕が買ってあげるよ。」
「あっあんな、高いものお前が買う義理なんてなかろう!
買うなら自分で買うか、、、。」
最後の言葉は言わせない。僕が彼の言葉を飲み込んだ。
「ふっ。公共の場で何をする!」
「一君。 僕は君の恋人なんだよ。
だから少し位僕に甘えてくれたっていいんじゃない?
僕、一君が甘えてくれないと寂しいなぁ〜。」
かぁーっと顔が紅くなる彼。だってそうでしょ?
僕と君はこ い び と どうし。
「ほら、たまには甘えてよ。あのケーキが食べたいってさ。」
にこにこしがら言う僕に 恥ずかしそうに
「あっ、、、。あの、ケーキが食べたい、、、。」
「あのケーキだね! じゃ、行こっか一君!」
と一君の手をとり店内へと走った。
「あの!これひとつ下さい!」
僕は大声で叫んだ。
おかげで店内にいた誰もがこちらを見る。
ふと横を見ると怪訝そうな顔をしている一君。
「総司!店の中であまり大きな声をだすな。」
周りに聞こえるか聞こえないか微妙な音量で僕を睨みながら言う一君。
僕は相変わらず 笑みを顔に張り付けていたけど。
一君、でもみんなが見てるわけはね。
大声もそうだろうけど
僕と君の繋いでる手だと思うんだけどな。
僕のちょっとした恋人アピール。
しかし、彼は気づかない。
案外天然だもんな〜 一君って。
まだ手は繋いだまま。
「お客様、おひとつで 1000円になります。」
事務的な笑みを浮かべる 店員に僕は言った。
「僕、ひとつなんて一言も言ってないんだけど。」
急に怖い口調になるのが 自分でもわかった。
だって言ってないもん。
「あぁ!お客様!おふたつですか!すいません!」
しかし、僕は嫌な顔をしたのかもしれない。
店員がおどおどしているとあまりにも僕が何も言わないのを心配してか、
一君が僕の服の袖を引っ張ってきた。
「総司。ちゃんと言わないとわからんだろう。」
―あっ、確かにそうかもしれない。
はぁと溜め息をひとつ。
一君がなんか言ったと思うけど、きっと溜め息の事だと思うから悪いけど無視。
「ケーキひとつってのは ワンホールの事なんだけどな。」
店員と一君は目を丸くした。
店員はまだ状況が読み込めないのかぼぉっとしていた。
「あの、、、。本当にワンホールですか?」
「だから、そうだって言ってるじゃない。」
僕は財布からカードを とりだし、渡す。
「総司、、、。お前のカード金色だな。」
一君は物珍しそうに言った。
―まぁ、一応お金持ちですから。
「じゃあ、そのケーキワンホール下さい。」
「いっ、15000円になります、、、。」
10000円もするたっかいケーキをしかも、カードで買う高校生。
まず、いないだろうね。
「あっ、お持ちかえりですよね。」
はい、と笑顔で答えた。
だって、一君が食べる姿を他の誰かに見せるなんて 僕が許さないから。
一君は僕のもの。僕だけの一君。
帰ったら、一君の写真を沢山取ろう。
一君はきっと嫌がるだろうけど、ケーキをご馳走してあげるんだから、
そこらへんは、ご愛嬌。
「じゃ、帰ろっか。一君!」
「あぁ、、、。」
繋いだ手は離さない。
僕と君は こ い び と だから。
いつでもつながっていなくちゃね。
繋いだ手の温もりを感じながら僕ら2人は夕暮れの街を去った。

斎藤さん、、、!いや、一君は絶対甘党だと思う!
てかそうであって欲しい!
スイーツは、和菓子が一見すきそうだけど
実は洋菓子、ケーキ類とかが好きという、、、。
あぁやっぱりかわいい!
この話続くかも!