―あぁ、次から次へと出てくるのは後悔という名の苦い雫。

或る放課後。

全ては―全てはこの一言から始まった。
「永倉。わりぃが俺の教室行って俺の上着取ってきてくれ。」
俺は特に用がなかったのでその要求を受けることにした。
「あ〜、そういえば、土方さんよ〜。俺、今月またすっちまってよ〜。」
とお金のポーズをしながら訴える。
「わーったよ!うるせぇなこの野郎!いいからさっさと取ってこい!」
お金つきで俺はその要求をのんだ。
「ふぁ〜あ。」
―ねみぃ。
しかし、今月すっちまった金のために頑張るか。
確か土方さんの教室は 2-6っと…。
―あれ、誰かいるじゃねぇか。
俺は教室の 後ろのドアに 手をかけて少し開いた。
中を見ると 誰かがいるらしく 会話が聞こえた。
「一君、僕ってどっちだと思う?」
おう、珍しく総司が来てるな。
なんだ、斎藤もいるのか。気づくと一度は開いたドアをぴたっと閉めていた。
―よし。暇なことだし、 いっちょ隠れて驚かしてやるか。
なんて 内心大人気ないなぁ とか思いながら
ドアの近くに息を潜める。
「あぁ、お前はMの方がいいだろ。 だって俺より―。」
最後の方の言葉が 近くのトイレの流水音によって かきけされた。
「じゃあ、一君の言った通りMで!一君はどっち?」
「俺はSだな。俺もそれの方がいい気がする。」
ったく、今の若者は昼からなんて話をしてるんだ。
大変けしからん。
この変態高校生めが。
―いっちょとっちめてやろうと勢いよくドアを開け放つ。
中にいた2人は唖然とした表情を顔に張り付けていた。
―すぅ、はぁ。
「これは、教師として いや1人の大人として 言っとかなければならない!
そういう話はしたいのはわからないでもないが そういう話は学校で するんじゃねぇ!」
と怒鳴った。
はぁ?と明らかに嫌な顔をする総司。
何故?と戸惑いを隠せない一。
何とも対象的な表情。
しかし、俺は間違った事は言ってないはず…
嫌な顔をしていた 総司の口元が急に歪みだした。
―にぃ。
何を思い付いたような笑み。
腕を組んでこちらを 見つめてくる。
―嫌な視線だな…。 「ねぇ、永倉センセ。 僕達が何を話してたか知ってる?」
翡翠色の目を 細めながら 楽しそうに笑う総司。
「だっ、だから、どっちが苛められるか、苛めるか・・・。だろ。」
ふぅんと鼻で笑う総司。
今なら土方さんが怒るわけがわかる。
なんか、いちいち癪に障る。
「ねぇ、一君。僕達何してたんだっけ?」
わざとらしく聞く総司に一も訝しげに言った。
「なにを言っている。今まで一緒にクラTのサイズを考えていたのではないか。
何だ、この暑さで頭がやられたか・・・?」
ーん?クラ、T?ん、サイズ?
考えるたびに、自分の頭の中に熱が走った。
気づくともう全身暑くて、全速力でその教室を後にした。
「総司、永倉先生はどうされたんだ?」
にやにや笑いながら答える。
「ん?たぶん、この暑さにやられて変な妄想とかしちゃったんじゃない?」
「真面目に答えろ!」
二人の他愛ない会話が今でもおれの頭の中に響いていたが、
そんなことより今の俺は今月の赤字よりももっと深刻な明日からの総司への対応に思い悩んでいた。


永倉先生!(笑)
永倉先生はその後約1ヶ月位、総司君に口止め料として毎日お昼を買ってあげたそうです。(笑)
苦労性な彼が大好きです!
気が向いたら続くかも!でも今はとりあえず、平ちゃんをかくぞ!

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