現パロ 土斎 甘め




―俺は俺が好きな色に染め替えたいんです。


together -お揃い-


今日も俺は土方さんの家に通っていた。

しかし今日は少し違ってコンビニで買ったあるものを持って。

この間俺が髪を染めたいと言っていると土方さんが染めてやると言って下さったので

今その染め粉を持って土方さんの家に向かっているところだ。

染めて貰うことも、勿論嬉しかったが何よりも好きな人と少しでも多くの時間を過ごせる事の喜び。

自然と足取りが速くなる。



「おう、早かったな。斎藤。」



といつも玄関の外に出て俺を迎えてくれる愛しい人。



「あ、はい。凄く楽しみで…。ついつい浮き足だってしまいました。」



そういうと苦笑いをされて。 俺の手をとっては家に招き入れてくれた。

部屋に入るまでずっと俺より少し大きな手と俺の手は繋ぎっぱなしだった。

中に入ると土方さん愛用のたばこのにおいとほろ苦い珈琲の香りに満たされた。



―ここのにおいは凄く好きだ。



そのにおいが好きなのは好きな人のにおいだから好きなのか、はたまたただたんにこのにおいが好きなのか。

悩んだところで結果はわからない気がする。

ぼ―っとしていると頭をぽんと叩かれた。



「おい、ぼ―っとしてるなよ、斎藤。 ちゃんと、染め粉買ってきたか?」



と珈琲を注ぎながら俺に問いかけた。



「はい、ちゃんと買ってきましたよ。」



と言い染め粉の入ったコンビニの袋を見せた。

コンビニの袋を見て 土方さんは少し笑みを浮かべながら、俺の頭を優しく撫でくれた。



「よくできたな。 実は結構心配だったんだぜ、お前の事。」



と子供扱いをされたので 内心少しムッとしたが、 すぐその後の言葉に今までの感情は消されていった。



「いや、別に子供扱いしてるわけじゃねぇんだよ、俺は。

お前…、その可愛いからよ…。誰かに連れ去られたりとか変な事されたりとかしてねぇだろうなと思ってな。

何度迎えに行こうと思ったやら…。」



といいながら珈琲が俺の目の前に置かれた。



「だから、今お前を見る事が出来て安心した。

ほら、飲めよ。

お前が好きなように砂糖三杯、ミルク一つ入れといたぞ。」



とほのかに香る甘い香り。



「いただきます。」



そう言ってカップに口をつける。

ごくごくと俺の喉を潤していくほろ苦くてちょっぴり甘い液体。

本当に俺好みですごく美味しい。

ごくごくと飲んでいると不意に声が掛けられた。



「お、そういえば斎藤。 お前何色に染めるんだ?

俺はお前に金とか茶は似合わねぇと思うけどな。」



―俺もそう思う。



「いえいえ、金や茶にはしません。ただ自分の好きな色に染め替えたいと…。

よろしくお願いいたしますね。」



ふっと笑みをこぼし



「まぁ、お前の事たから大丈夫だろう。

おお、じゃあ飲み終わったみてぇだし、そろそろ洗面所行くぞ。

ちゃんと染め粉持ってこいよ。」



「はい。」



と差し出された手に従い後ろをついていくと、ふと廊下にゴミ袋にいれられた服がたんまりと積んであった。



「これ、捨てるんですか?」



積まれたゴミ袋を指差し問うた。



「あぁ。もう俺には着られねぇから、な。

捨てるんだ。それがどうしたんだ?」



?を顔一杯に浮かばせながら問うてきた。



「あ、あ、いや…。 あの…。もしよかったらでいいんですが…。

もしいらないのでしたら その紺色のカーディガン、頂いてもいいですか…?」



と俺が言うと土方さんはゴミ袋をガサゴソと探り出し中から紺色のカーディガンを取り出した。



「こんなんでいいのか? まぁ、虫に喰われてはねぇみたいだけどよ。

お前が着るには少し大きすぎねぇか…?

カーディガンねぇんなら、新しいの買ってやるぞ?」



俺は首を横にふった。



「いや、カーディガン自体は家にあります。

俺はこれが欲しいのです。土方さんが着てたこのカーディガンが。」



と言うと土方さんの顔はみるみるうちに紅くなっていった。



「か、勝手に持ってけ! それより、いいからついてこい!」



「はい。」



と笑っていうと土方さんもつられて笑った。

「ほら、腰かけろ。」



と言われ予め用意されていた椅子に腰を掛けるとふわりとケープを掛けられた。



「お願いします。」



「おぉ、任せておけ。」



といつもの少し意地悪な笑みを浮かべて言った。

シャワシャワシャワと髪を解していくしなやかな指。なんとなく、くすぐったい。



「んふっ…。」



あまりの気持ちよさに 思わず、声が出てしまった。

その途端、 ふと土方さんの手が 止まったので上を見ると 何故か頬が紅くなっている土方さんが上にいた。



「…普通あんな声出すかよ。」



とぼそっと呟いた。



「どうしたんですか?」



と尋ねると 土方さんははっとして



「い、いや! 何でもねぇ、本当に何でもねぇ!

気にするな、斎藤。

それより、ずっと前から思ってたんだがお前犬みたいだな。」



と笑われた。



「何故、犬なんですか…?」



そう言うと土方さんは嬉しそうに笑いながら、



「だって、お前よく俺が髪解かしてたら擦り寄ってくるしよ。

それに今だって、気持ちよかったのか鳴くし…。

俺の言うことには本当に忠実だしな。まぁ、前々から思ってたことなんだけどな。」



「犬…。」



考えた事もなかった。

犬なんて今までだって言われた事がなかったのに。

頭がもやもやしていると ふわっとタオルが投げ出された。



「ほら、綺麗に染まったぞ。乾かしてやるから、ここ座れ。」



そう言って指指されたのは土方さんの膝の上。



「何処に座るんですか…?」



どうみても指差されたのは土方さんの膝の上。



―まさか…?



「さっさと来いよ。 ほら、風邪引いちまうぞ。」



と言って強引に抱き寄せられた。



「重くないですか…?」



そう聞くと笑われた。



「大の男が、 好きな奴位担げねぇでどうするよ?

大丈夫だ、全然重くねぇよ。」



さぁーっとドライヤーが響き鏡に映った俺の髪の色がはっきりしてきた。



「んで、結局何色にしたんだ? 黒か?それとも染まりすぎただけか?」



と俺の髪をふわふわと撫でながら聞いてきた。



「言ったでしょう。俺は俺の好きな色に染め替えると。 俺が好きな色は。

土方さん。

俺の好きな人の髪の色と同じに。

俺はあんたと同じにしたかったんです。」



そういうと土方さんに強く抱き締められた。



「お前は本当犬だな。 人なつっこ過ぎる。

でも、それは俺だけにしとけよ…?

他の奴にそういう事したら許さねぇからな、俺。

そうだ。今日は優秀な忠犬君にたっぷりとご褒美をあげないとな。」



そう言ってまたいつものように意地悪そうに笑った。

あんたの側にいられるのなら俺は犬にだって、なんだってなってやる。

そう心の片隅で忠誠を誓ったのであった。










忠犬一君劇場。(笑)

てか、お揃いっていう英語の題名にしたかったのにお揃いっていう単語がなかった。

ので派生語から引っ張って来ました。

なので、今回は日本語訳つきです。

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