土斎 SSL 土方先生×生徒一君




―ヤバい、ヤバい…。これは本当にヤバい。


Summer end Vacation.


明日で夏休みが終わる。明日で終わる…。明日で終わる…。明日で終わる…!?



―ヤバい。本当にヤバい。今、俺の目の前には数学、古典、生物、物理、英語そして…。



オープンキャンパスという山積みされたプリントが高くそびえ立っていた。



―気のせいだ。これは夢だ、悪夢だ。



と言ってぎゅっと瞑ってみるも、目を開けたところで目の前の情景は変わっていなかった。

―うそだ、うそだ、うそだ!と言って髪の毛をくしゃくしゃと掻き回しても尚、状況は変わらず。

仕方なしに全てを受け入れる事にした。

今日は8月31日。

つまり、明日は9月1日。

やはり明日は何度カレンダーを見ようとも登校日。

「どうした―?」

という声が聞こえて振り帰えると俺の救世主〈メシア〉がいた。



―そうだ!この人と一緒に暮らしていることを忘れていた!



「土方先生!助けてください!」

と言っておもいっきり抱きついた。

はぁと溜め息を吐き苦笑いを浮かべる。

「やっぱりな。合宿中いつも朝早くから宿題やってるお前がやってねぇなんて変だなと思ってたんだが…。

そうか、やはりそういうことか。」

土方先生は俺を優しく抱きしめた。

そのほどよい力加減に 大人のかっこよさを感じずにはいられなかった。

「はい…。お恥ずかしながら…、実は家に忘れまして…。」

「まぁ、合宿長ぇからな、うちの部活。しょうがねぇか。」

そう俺の部活の合宿は長期合宿で8月の始めから登校日の2日前まで合宿というなんともハードな部活だ。

だから今日久しぶりに家に帰ってきたわけで…。

「どうしたものか…。」

独り言を言ったつもりが気がつくと口に出ていたみたいで。

上からはぁと溜め息が聞こえた。

「仕方ねぇな…。いつもテストの丸付け手伝って貰ってるから、その礼だ。ほら、貸せよ。

文系のなら少し手伝ってやるよ。」

まるでスイッチを入れたかの如く ぱぁぁと表情が明るくなったのが自分でもわかった。



「お願いします!!」



全身全霊で俺は礼をした。それを合図に 2人は同時にシャーペンを滑らせた。

「おい、斎藤。古典と英語終わったぞ。」

あまりの速さについ口を大きく開けてしまった。

「え!まだ一時間もたってないのに…。」

ふっと笑みを溢し言う。

「俺を誰だと思ってるんだよ。古典の土方先生様だぞ?

自分が作った問題の答えぐらいできなくちゃおかしいだろ?

ほら、そんなことはいいから他の貸せよ。お前も早く終わらせたいだろ?」

と言って物理と生物のプリントを奪っていった。

「そ、そんなに先生にやってもらうわけには…。」

と言うと大きな手が俺の頬に触れた。

「本当だったら今日は朝からお前と出掛けたかたったのによ。なのに宿題が終わってねぇって言うから…。

だから、さっさと終わらして午後からは俺についてきて貰うからな。だから、おめぇもさっさと数学片付けちまえ。」

「はい。ありがとうございます!」



―いつでも先生は優しいんだな。



だからその優しさに応えるために俺はノートの上でシャーペンをスラスラと滑らせた。

愛しい人を思い描きながらスラスラ、スラスラと。



『ふぅ〜、終わった―!』



二人が終わったのはほぼ同時。俺は先生の前に礼儀よく座り、頭を垂れた。

「今日は本当にありがとうございました。俺の不注意であなたまで巻き込んでしまって…。」

「いや、かまわねぇよ。何をしていようとお前の近くにいることができてよかった。

遠慮することはねぇ。たまには、今日みたいに俺を頼れよ。」

そういってもらうと自然と心が弾んで。

「じゃあ、出掛けんぞ。」

愛しい人の後ろ姿を見ながら、俺は言った。

「はい!明日からもよろしくお願いします。」

「おう。」

と苦笑いを浮かべながらいうあなたに俺も自然と笑みが溢れた。

窓の外を望めば、夏を彩る蝉時雨。最後の1日。最高の一時。

あなたと過ごす今年最後の夏休み。

木漏れ日に濡れた午後の光。

この一瞬をどうかあなたといつまでも。







最後無理矢理w
夏休みの宿題って本当大変ですよね。(笑)

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