R18-G 土斎 死ネタ




―お前は何でも俺の命に従うんだな?


狂気に貴方を染めあげる。


いつからだろうか。

こんなにもどす黒い独占欲を胸中に抱くようなったのは。

そして、あの小さな背中に沢山の責任を背負い込ませてしまったのはいつからか。

お前は俺の命には従順に従った。

いつでも、どんなときでも。

御陵衛士への引き抜きの時も、自ら隊から離れ、戻ってきたときも周囲の裏切りの目に曝されようとも

気に留める様子もなく、ただ俺の命に従った。

ただただ、俺の命を受け入れた。



―斎藤は俺の命には必ず従う。



その従い様は、例えるならば道端で売られている人買いの子供のようだった。

病的な従順さ。

純粋な憧れ。

俺を壊していった斎藤の2つの感情。

ある時、ふと俺に魔がさした。

その日はちょうど 一番組と三番組が巡察の当番だった。

総司と斎藤が話しているのを見て何故か俺に嗚咽が走った。

中にあるものを全て出してしまいたいという自分の意思ではなく、ただその光景に過剰反応をしたのだと思う。

胸が張り裂けそうに痛い。ふと、着物の裾を握りしめている自分がそこにいた。



―これは嫉妬なのだろうか。



その後も、斎藤が誰かと話しているのをみては同じ症状が襲ってきた。



―苦シイ、苦シイ。



ある時、斎藤はそんな俺の様子に気づき、抱きしめた。

何も言わず、ただただ優しく包んでくれた。

ふわりと香る優しい香り、抱きしめてくれる斎藤の腕、そして俺だけを映す深碧の瞳。

今、斎藤の瞳の中にいるのはこの俺のみ。

俺は斎藤が俺のものになったと錯覚した。

その底知れぬ満足感に口角を吊り上げた。



―こいつなら俺の我が儘に、俺の命に従ってくれる。



そんな何処からとも無く聞こえる悪魔のささやきに俺は胸を躍らせた。

「斎藤、これは副長命令だ。これからずっと俺以外の奴とは喋るな。後、巡察にも行くな。ここにいろ。破ったら切腹だからな。」

こんな脅し文句を述べた。 斎藤は悲しそうな笑顔を見せた後、こくりと頭を下げた。



―それから幾らかの月が過ぎたが、斎藤は俺の命どおり俺の部屋から一歩も出ることも無く、ただただ部屋の中で一日を過ごした。



俺以外の誰とも喋らぬ世界。俺が言った言葉は斎藤にとっては呪いとなった。

俺は流石に可哀想に想い斎藤を部屋からだし、他の隊士達と話す許可を与えた。

だが、喜ぶと思っていた当の斎藤は喉元を押さえなにやら泣いていた。

「どうした?」ときいてやっても答えは返ってこない。

何度話しても帰ってこない返答に俺はある最悪の答えを導き出した。

「もしかして、声が出ないのか・・・?」恐る恐る聞いてみると涙を沢山溜めながらうんうんと頷く。



―俺はまたこいつの大事なモンを一つ奪ってしまったのか・・・?



何度問いかけても戻ってこない。あの綺麗な声が、大好きなあの声が返ってこない・・・?

それもこの俺が奪ってしまったというのか・・・。

しかしまた一つこいつが俺のモノになったと思うとまた口角が上がっていった。

斎藤はそんな俺の様子を見てあとずさった。

逃げようとする斎藤の手を引っ張り、強引に抱き寄せ乱暴に口付けた。

「なぁ、斎藤。お前は俺の為なら何でもできるんだろ?だったら、俺のために死んでくれねぇか?」

そういうと、斎藤は首をぶんぶんと横に振った。



―初めての斎藤の心からの拒絶だった。



「お前は俺が嫌いか?好きなら俺のために死ねるんだろ!なぁ!斎藤、死ねよ!俺のために!」

今斎藤の喉下には俺の愛刀が突き刺さろうとしている。

が、斎藤はそれを手で防いでいる。

斎藤の手から流れ落ちる、大量の紅い液体が俺の着物を濡らしていく。

「俺もお前の後追ってすぐ行くからよ。だから、一緒に、今度は本当に誰もいない場所で0からやり直そうぜ・・・。」

俺はそう言うと刀の力を一層強くした。



―ストン。



斎藤の右腕が刀の力に耐え切れなくなって、畳に落ちた。

畳は紅く染め上がり、こく染みを作っていく。

「ほら斎藤。早く死ねよ。俺の為によぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!」



一瞬だがまたあの時のように悲しく笑う斎藤が見えた気がした。



「副長・・・。愛してくれてありがとう・・・。俺は先にあっちに行ってます・・・。

どうか、死をせかないで・・・。貴方がいないと皆困るから・・・。」



―ガシャン。



無機物な刃物が肉を絶つ音が俺の部屋にこだました。

俺はこれで斎藤を手に入れたんだ!

嬉々として斎藤を抱きしめるが、斎藤の目にはもう生が残っていなくただただ黒い闇を映していた。

斎藤の体はすぐに冷たくなっていった、それと同時に俺の頭も冷めていきこの状況を理解し始めた。



―俺が殺した・・・?



「斎藤・・・?斎藤!!」

ゆさゆさと揺さぶっていると斎藤の袂から一冊の本が落ちた。

それはどうやら日記のようだった。

さらさらとめくっていくとそれには所狭しと文字が書き付けてあった。



―文月二十日。俺が斎藤にあの命令をした日だ。





最近、副長の様子がおかしいと思うのは自分だけなんだろうか。

心配なので、総司や平助、左之、後、雪村に聞いてみたが皆知らぬという・・・。

後で、副長の部屋にもよって見ようと思う。

あの人は新選組にとっても必要だし、この俺にとっても一番必要な人である。

だから、どうにかしてあげたいと思う。

例え、この俺が犠牲になろうとも・・・。





視界はどんどん潤んでいき、だんだんと文字も読めなくなる。

ふと最後の1枚になったときに俺はもう泣かずにはいられなかった。



―霜月一日。今日のことだ。





俺は決心した。副長にとって一番の荷物は俺なんじゃないかと。

気づいていしまったんだ、俺はその事実に。

俺が、副長に呪いをかけていたことに。

だから、今日で俺は副長とさよならをしようと思う。

今はもう話こそ出来ないが副長なら、いや土方さんならきっと・・・。

分かってくれるとおもう。俺はそう信じてる。

これ以上副長に迷惑をかけないためにあえて、その道を選ぼうと思う。

大切な人のために、大好きな人のために。

いつか、貴方がこの日記をよんでくれたなら 俺が貴方から逃げたと笑ってください。

しかし、これだけは絶対に覚えておいてください。

俺は、ずっと貴方が想像しているよりもずっと貴方を愛しています。

だからこそ、これからはもっと自分のために生きてください。

こんな俺をどんな形であれ愛してくれてありがとう。

今度は互いにもっとお互いを知って愛し合いたい。

だから、また会いましょう。



新選組三番組組長 斎藤一





そこには赤裸々な斎藤の想いが綴られていた。

俺を愛していたことも、誰よりも俺を気遣ってくれていたことも・・・。

「斎藤・・・。」

俺は斎藤を抱きしめながら、愛刀兼定を自分の喉下へと持っていった。

「痛かったよな・・・。辛かったよな・・・。ごめんな、斎藤・・・。」

ぽたぽたと懺悔の雫は堕ちて行く。

斎藤の首筋を見ながら、斎藤と同じ場所に刃をつきたてあの世への道を切り開いていった。

だんだん薄れていく景色、だんだんと弱くなっていく喉下の痛み、そして、腕に抱くモノの感覚。

果たして、この痛みは俺を何処へと誘うのか。

ただ、最初は愛していたんだ。なんてのは戯言。

気づいたら、俺は奴に永遠に解けない呪いを奴にかけていたみたいだ。

「斎藤、好きだ・・・。」

最後に意識を手放そうとしたとき、言い放った言葉に一瞬だけ、たった一瞬だけ斎藤が満足そうにしたのが見えた気がした。





ヤンデレ副長!最低・・・。彼って結構独占欲強いですよね・・・。
めっちゃ束縛とかしそう・・・。
てか、土斎好きだけど書きにくすぎるぜ・・・。
土斎1つ考えてる間に沖斎が5つ出来たマジック。
好きなんだけどなぁ。でも、書きにくいからなぁ・・・。
次はとりあえず沖斎。うん、がんばる。

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