沖斎 宝石店パロ 店員沖田×お客様斎藤。
―貴方は大切な人のために目を売れますか?
「いらっしゃいませ。」
今日も僕の店には綺麗な宝石を求めて貪欲な人間が集まる。
一人は愛するもののため、一人は我欲のため。
それは偶然なのか、はたまた必然なのか。
そんな事は誰にもわかりはしない。
「宝石をお求めですか?」
にこりとしながら聞く。
今日の客はどちらだろうか。
そんな事に胸を踊らせた。
「はい。」と
その深碧の瞳の少年はしっかりとした口調で答えた。
―きっと知らないんだろうな、この少年は。
ふふふと口に笑みを含み尋ねた。
「何色の宝石をお探しですか?」
その少年は僕を指差した。
「あんたの瞳の色、翡翠色の奴を頼む。」
自分を指差された事にも
驚いたが、もっと僕の瞳の色を探していたということにも驚いた。
「プレゼントですか?」
と聞くとあぁそうだという返事が返ってきた。
―今日の客は前者か。そんな事を言っても自分が一番可愛いに決まってる。
この後のアクションに
彼が慌てふためく姿を想像した。
「では、かしこまりました。当店の宝石は人の眼球がないと作れないんですよ。
特別な宝石なんでね。
宝石を依頼した方の
眼球一つを頂く事になるのですがよろしいですか?」
にんまりと口を歪め、
彼の慌てぶりを見る事に専念した。
―この人はどんな風に狂うのだろうか。
何も動じない。むしろだんだんと穏やかになる表情。
「ふっ、やっぱりそうか。目は一つしかやれないがそれでいいか?」
と綺麗に笑う彼。
僕が言った事が理解できないのだろうか。
そういって彼は紫紺の髪をかきあげ髪に隠されていたもう一つの目を差し出そうとした。
「な…い、?」
彼の目はなかった。
あるのは深く暗い窪みのみ。
「大事な人にあげたんだ。その人がここの宝石が欲しいと言うから。」
と彼があまりにも嬉しそうに笑うから。
「さぁ、早く此方の目も取ってくれ。」
―何故この人はこんなに人に一生懸命になれるのだろうか。
人を愛せるのだろうか。
「その目を差し出したら貴方は生涯その人を見ることができないんですよ?」
不意に悲しそうな顔になる。
「…。そうだ。だが、その人がそれを望むなら俺はなんだって。
俺はその人に昔みたいに笑って欲しいんだ。昔みたいにきらきらと。」
と言って僕の頬に触れた。
「えっ…。」
突然の行動に僕は驚いた。
「覚えていないだろうか。俺だ…総司…。」
紫紺の髪、深碧の瞳、そして変わらない瞳の中の揺るぎない炎。
「一君…?」
はっと気づかされた。
というか、なんで今まで気づけなかったんだろう。
僕が一番大切だと思っている人を。
「本当に…一君…?」
「あぁ。」
一君は嬉しそうに笑った。
「だって、だって、一君は車に跳ねられて、植物状態で…。」
そういうと手を握られた。
「お前が呼んだから…お前が俺を呼んでくれたから…。再び地面を踏みしめる事ができたんだ。」
「僕が君を…?」
僕は一君が大好きだった。いや、今でも大好きだけど。
だから、忘れ去ろうとしてたんだ。僕がこれ以上傷付かないように、受け入れるという形でなく忘れるという形で。
「僕は、君を忘れようとしてたんだよ!
僕は卑怯な人間なんだ!
だから、だから…!」
そういうと強く抱き締められた。
「俺がお前をそういう風にさせたのは他でもない俺のせいだ。
お前は悪くない。
だから、贈らせてくれないか。
物をあげたことで
許してくれなんて事は言ったりしない。
ただ、俺なりのせめてもの償いだ。
受け取ってはくれぬか?」
彼の瞳は真剣そのものだった。
「僕は、そんなものいらない。」
と言って僕は、一君にも負けない力で強く抱き締めた。
―僕が欲しいのは宝石なんかじゃない。
―一君だ。
「ただ君を愛してる。」
と言って精一杯抱き締めた。
「俺もだ、総司。愛してる。」
ここの宝石は確かに綺麗だけど、僕は今日再び大切なものを見つけた気がした。
僕にとって一番大切なのは君だったから。
過去形ではなくずっとこれからも。
「お前にこの宝石を贈りたかったんだが…。」
「僕はこんなのいらない。」
僕のなかで君の存在は宝石よりも何よりも輝いているから。
えへへへへへ。
最初は上手く行ってたんだけど中盤、調子乗っちゃったぜ☆…
だから、こんなまとまりのないというか中身のない文に…。
発想自体はいいと思ったのになぁ…。
(笑)
紅天のヴォイスを聞いてたら、、、ね。
眼球がね、斎藤さん。
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