沖斎 死ネタ 毒林檎物語。

―アナタガ望ムノナラバ…


君に堕ちるまで。

「一君、僕の事好きだって言うならこの林檎僕の前で食べてみせてよ。」
そうして差し出されたのは普通の林檎よりやや紅みを帯びた林檎。
もう俺はその林檎の正体を知っている。さっき説明されたとおり。


「毒林檎。」


「食べれば俺の気持ちに応えてくれるのか。」
俺は総司に確認する。
「うん。本当に食べたのならね。」
総司は笑った、が目は笑わない。
いや、正しくは笑えないのだろう。
沢山の人々に裏切られたからかすっかり人を信じることを怖れるようになってしまった。
だから俺は俺がこの毒林檎を食べてまたこいつが人を信じることを思い出してくれたら。
「俺を信じてほしい。」
深緑の目を覗きこみ俺は訴える。
奴の心に俺の言葉は届いているのだろうか。総司にとって永遠の存在なりたい。
「ほ、本当に食べる気?嘘でしょ?ねぇ、いくら好きだからってその人のために死ぬなんて…そんな人間いるわけ…。」
「だから俺がそれを証明するんだろ。」
やさしく微笑み掛け俺は林檎を手にして最後に一言。
「来世で待っている。来世では前世の俺の事など忘れて来世の俺を好きになってほしい。」



ガリッ。


甘いような痺れが一気に俺の全身へ伝わった。
手足が痺れる、足が震える。
気がつくと俺は総司の膝の上にいた。
総司の瞳は濡れていた。
「一君、嫌だ!死んじゃ嫌だ!好きだったのに!ねぇ、一君!僕の事一人にしないでよ…。」
最後の力を振り絞り
「最後に俺の精一杯の我が儘を聞いてくれないか…?」
「何!一君、何でも言って!」
「好きと言ってくれ…。」
総司は俺の髪を撫でながら俺の欲しい言葉を囁いた。
「一君…好きだよ…大、好きだよ…。」
最初のうちは愛しい総司の声が聞こえていたのにだんだんと総司の声が離れていく。
俺の瞳に総司はいない。
総司だけではない。
全てのものが瞳に映らなくなった。
2人の間をだんだんと離していく死の足音。



来世であなたは俺を愛してくれますか?



またまた死ネタ!当サイトの沖斎及び土斎は輪廻転生型です。(笑)
死んでもまた生き返る!んだなこれが!
てか、鳥海氏と諏訪部氏の曲を聞いていて思い付いた小説なのです。
いろは唄ですよ、い ろ は 唄 。

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