土斎←沖 「together-お揃い-」の沖田視点。




※先に「together-お揃い-」を読んで下さい。


―一君、もしかしてイメチェン…?


yourself -君自身-


「もしかして…一君?」



「あぁ。」



恥ずかしそうに頬を染めながらセーターの袖口を口許に運ぶ。

黒のだぼだぼのセーター、大きく開かれた胸元にゆるいネクタイそして革バック。

艶やかに光る漆黒の髪。

何故かいつもより幾らか…嫌、いつもの数倍は色っぽく見えてどきっとした。

髪も染め変えるだけでなくワックスを使って

形をちゃんと決めている。

今まではワックス使ったとこなんて見たことなかったのに。



「一君…?」



「何だ。」



少し顔を俯かせながら頬を赤くさせ問うた。



「イメチェン…?」



というと目を今までにないほどかっぴらき、口をパクパクさせていた。



「まぁ、そうなのだろうか…。」



一君は一人で悩み始めた。

ぶつぶつと聞こえてくる言葉はとてもじゃないけど 聞き取れなくて。



―この時期に…?何で…?



今は11月の半ば。

新学期からイメチェンするなら未だしも、何で今…?

しかも今日木曜日だし…。はっきり言ってタイミングが悪すぎると思う。

とりあえず、昨日までの一君とは全然違う一君が僕の前にいる。

昨日までの一君は紺色のぴっちりとしたセーターに、黒い学生カバン、

ネクタイはもちろん上まできつく締めてあって…、髪だって僕の大好きな紫紺色。

何で急に…?



「何で一君、イメチェンしたの?」



凄く気になったから聞いてみたら、小さい声で



「…揃いにいたんだ。」



「え?」



よく聞こえなかった。

そういうと一君はもじもじとした。

女子か。しかし、かわいいと思った僕はきっと負け組。



「…お揃いにしたのだ!」



気づくと顔を真っ赤にさせて大声を張り上げていた。



―いや、その顔はダメだよ。一君。うん、今凄く食べちゃいたい。



―ところで…?



「誰とお揃いにしたの?

だって、その格好一君に凄く似合ってるからよっぽど一君と意志疎通してる人なんだね。

親戚のモデルさんとか…?今度、僕にも紹介してほしいな。」



一君にこれだけ似合う格好をしてる人って凄いと思った。

一君はというと…。



「意志疎通…意志疎通…意志疎通…意志疎通…。

あの人と意志疎通だなんて…。」



どこかに行っていた。



「ねぇ、一君誰とお揃いなの?」



そう聞くと一君は少し恥ずかしそうに



「土方さんと…」



―何だって…?



「ごめん、一君。 もう一回言ってもらっていい…?」



「あ、だから、土方さんとお揃いにしたのだ。」



その言葉を聞いた途端僕のスイッチは乱暴に切り替わった。



「一君、やっぱりその格好すっごく趣味悪い。

だいたい、今の時代に黒髪ってないでしょ?ださいよね。

まぁ、どっかのおじさんの真似だし、別に一君が悪いわけじゃないけどさ。」



おどおどする一君。



「さ、さっき似合ってるって…

「うん、言ったよ。 さっきはね。でも今は気が変わった。変だよ、その格好。」」



気づくと一君はあまりのショックにもう喋れなくなっていた。



「うん。僕はいつもの一君の方が何十倍も好きだよ。」



そういうと一君は苦笑いをした。



「そうか。やはり自分らしく生きた方がいいのだな。

人の真似などせず、真っ直ぐ己の道を、と言うことだな。

ありがとう、総司。」



―うん、なんて君はポジティブなんだろうか。いいや、ポジティブっていうよりただ馬鹿なのかな。



「うん。一君はそのままが一番だよ。」



すると一君がまたしょんぼりとした。

「どうしたの?」



そう聞くと一君は暗い顔をしながら



「そういえば…なのだが、髪の色を元に戻すのならばまた土方さんに髪を染めて貰わなければ…

面倒な事をさせてしまったな…。」

なんてぽつりと呟くから



「今度は僕が染めてあげるから!」



と大声で言うことになった。

大好きな君のためなら 例え、一肌だって二肌だって脱いでやる。

次の日から僕は土方さんに会う度、跳び膝蹴りを繰り出すのであった。









好きな人とお揃いにするってなんかかわいい。

緋桜的、萌えポイント高いぜ。

しかもさ、よりによって一君だぜ、わっほい。

あっ、ちなみに「together-お揃い-」を先に読んでから読んで下さいね。

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