薄桜鬼黎明録発売記念SS 土方視点




―俺達の黎明はこの夜明けと共に始まるんだ。


黎明への出立。


まだ暗い闇の向こうから見える微かな光。

光は俺達を栄光へと導くのか否、滅亡へと導くのか。

まだ、何もわからねぇが、やってみなくちゃどっちにしろ前には進まねぇ。

何も進まねぇ先にあるのは後退のみ。

やると決めた以上、 こんなろくでもねぇ

命を懸けて馬鹿みたいに 戦う連中を裏切る訳にはいかねぇ。

そう、今俺にいや、俺達にあるのは ただ光を目指してひたすら走ること。

例え、誰が死のうとも 己が道を駆け抜ける。

それが達成された時 俺は…近藤さんは…。

「さぁ、出掛けるぞ! てめぇら!!

命懸けで己の信念を貫き通したい奴は 俺の後に、近藤さんの後に続け!」



『近藤さんが行くなら 僕も行こうかな。

でも、本当は 土方さんがいるから 一緒に行くの嫌なんですけどね〜。

まぁ、しょうがないか。』



憎まれ口を叩きながらも ひょこりと俺の後についてくる一人目の男。

こいつが後に凄腕の剣客。

新選組一番組組長沖田総司となる男だ。



『俺も連れていって下さい。 俺はいつまでも、 あんたたちの元で戦いたい。』



そんな男の後には さっきの男とは 対照的な小柄な男がついてきた。

後に総司に負けずとも 劣らない凄腕の剣客。

新選組三番組組長斎藤一。

俺が隊士の中でも 一、二番に信頼できる輩だ。



『待ってくれよ! 何で俺だけ置いて行くんだよ!

そんなの、ひどいじゃん!』



小さくぴょんぴょんと 跳ねながら付いてくる子供と、

世間は言うだろうが 好奇心が強く 剣術も大人より数段上手い。

新選組八番組組長藤堂平助。



『まぁまぁ、平助。 落ち着けって。 皆浮き足立ってんだよ。

ほら、お前も行くぞ、新八。』



穏やかな口調で常に大人な目線な槍の使い手。

新選組十番組組長原田左之助。



『あぁ、待てよ左之!

この新八様を置いて行くとはいい度胸だぜ!

この身尽き果てるまでついてってやろうじゃねぇか!』



暑苦しくてうざったい剣術馬鹿。

しかし、剣の腕はあの斎藤を忍ぶ程で総司にだって負けやしねぇ。

新選組二番組組長永倉新八。



『おやおや、待ってください。

皆さん、焦らずとも京は逃げませんよ。』



後に新選組総長山南敬助。頭もよく、気も効く頼れる人だ。

『歳! なんだか心が踊るな!

ほら、歳。

前をみろ!俺達の黎明だ!』

俺達の頭。

近藤勇…いや、近藤局長だ。俺の昔からの旧友だ。



「あぁ、本当だな。 近藤さん…。」



ここから始まる。

ここから走り出す。

前へ前へと。

言った以上、もっと前へ。



「おい、おめぇら! ちゃんとついてこいよ!」



『おう!』 夜明けに響く決心の声。

俺達は前へ前へと歩み出した。









黎明録発売☆
やっほい!早くやりたいです。(笑)

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