シリアス ヴィンギル 幼少時代




―おまえの目はまるで地獄の業火のようだ、ね?


禍罪の子と鴉。


何故、ボクはまたここに帰ってきてしまったのだろうか。

「ただいま。」

といってガチャリと扉の鍵を 開けるとそこにはいつものお前がいた。

鋏をもっていつもの如く。床には首を切り離された人形、目をくり貫かれた熊。

様々なものが異様な形で 散らばっていた。

もう、この光景には慣れてしまったから。

それについては何も触れない。

「ただいま、ヴィンス。」

「おかえり、兄さん。」

―ヴィンスは禍罪の子。

炎色の目を晒すと 人々は彼に石を投げ、罵声を浴びせる。

彼の力にはなりたいと思う。

だって、彼にはボク一人しかいないんだから。

そう気付いた瞬間からボクは狂ってしまったのかもしれない。

彼を守るという義務に縛られ周りなど見えなくなっていった。

彼はいつも一人で俺の帰りを待っている。

「おかえり!兄さん!寂しかったよ!」と言って擦り寄ってくる。

可愛いとは思う。

一人にさせてしまって悪いとも思う。

だが心の片隅ではこいつさえいなければ…なんて思ってしまう自分がいる。

金色の髪をふわふわとさせボクに擦り寄ってくる。

ボクにはその行為が 必死にすがり付いているようにしか見えなかった。

まるで「離さないで」と言っているようで。

―憐れな弟。

―禍罪の子ヴィンス。

「どうしたの?ギル?」

心配そうに覗き込んでくる炎色を纏った目。

その瞳はまるで地獄の業火を映したようで・・・。

別におまえが悪いわけではない。

誰が悪いわけでもない。

しかし、人々はそれを嫌いお前をこの世から突き放してきた。

そして、ボクもその一人。

だから、そんな狡い考えを持ったボクの事なんて気にかけないでほしい。

どうか、愛に貪欲なこのボクを憎んで、突き放して…ボクが狂っていく前に。

お前の鋏で……!

殺してくれ…。

どうかお願い…。



―狡いボクを恨んでください。



―僕に永遠の安息をください。



初パンドラ小説。
ちなみにヴィンギルです。ギルが病んでます。
病んでます。
ちなみに私も病んでます。

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