シリアス 沖千
―愛しい君へ最後の言葉。
ある日起きると
そこは花が咲き乱れる花畑。
「千鶴…?」
隣にいるはずの存在。
愛する人の名を呼ぶが
帰ってくるのは風の音のみ。
―嗚呼、僕は彼女を置いてきてしまったのだな。
自然と自嘲の笑みが溢れた。
―情けないな、僕。
彼女だけは
守らなければいけなかったのに。
―本当に情けない。
柄にもなく
目頭が熱くなった。
逢いたいよ。
心の底からそう思った。
僕は結局誰一人守れなかったんだ。
僕に残された最後の希望。
たった一人の存在でさえ。
嗚呼、君はこんな僕を許してくれるだろうか。
いや、許してくれなくてもいい。
だって、僕の愛した人だから。
ごめんね、僕は
もう、君には
何もしてあげられない。
寄り添う事も、触れる事も、また逢うことさえ。
逢いたい、よ。
僕はただ何もない空を見上げ
一人大粒の涙を流したのであった。
逢いたい、逢いたいと願いを込めて。
短文初沖千。
ただNLが書きたかっただけなんです。