NL 風千 そろそろお盆です。




―ふと、空を見上げると皆が笑ってる気がして。

桜幻に君を見た。


今日の空は清々しい。
洗濯日和だ。
大したことではないけれど自然と顔が綻んでいった。
―よし、早く干してひなたぼっこでもしよう。
桜がはらりと青空を駆けた。また一枚。
あさぎいろの衣を翻し、 去っていくあの影。
「土方さん…?」
何故か、土方さんの後ろ姿が見えた気がした。
それだけではない、
「沖田さん、斎藤さん!」
待ってと手を伸ばしても 手はただ空を仰いだだけだった。
「何をしている。そんな顔をして。」 という声と共に抱き締められた。
自分でも知らないうちにひとつまたひとつと涙が零れ落ちていた。
「何か見えたか。」
こくんと頷き黙っていると、 千景さんは虚空に手を伸ばし口に弧を描いた。
「どうしたんですか?」
涙を拭いながら 口を弧の字にさせたままの千景さんに聞く。
「新選組の奴らが見えた気がしてな。」
と言ってふっと笑う。
千景さんは更に高く空を見上げた。
「もう、盆だな。 今度、墓参りでも行くか。」
「はい…。?墓参りって 誰のですか?もしかして…新選組ですか?」
「他に誰がいる。」
千景さんは凄く不思議そうな顔をする。
「千景さんは、新選組が嫌いだったんじゃなかったんですか?」
「何を言ってる。俺は奴らが気に入ったから何度も出向いてやったっていうのに…。
何を誤解している。」
ぽかんとしてる私の頭を優しく撫でる。
「まぁ、嫁を迎えに行くというのが一番の理由だがな。
奴らに会いに行くのもが俺にとっては理由の一つだった。」
かぁ―となる顔を見られたくなくて下を向くと
顎を掴まれ正面を向かされる。
「お前は俺の嫁なのだから、俺には全てを見せるがいい。
俺もお前が望むなら全てをさらけだしてもよい。」
といういつもの様な含んだような笑みではなくて 普通の笑みを浮かべた。
「千景さん、大好きです!」
と言って抱きついた。
今なら素直になれる気がして。
言いたかったこの言葉。
「当たり前だ。」
当たり前なんていいながら千景さんは初めて聞いた言葉かのように頬を染めていた。
「千景さん、もしかして照れてます?」
意地悪く言ってみると、 意外にも素直な言葉が帰ってきて。
「あぁ。」
たったそれだけ。
短い言葉だったけど。
私には千景さんという人がどういう人かわかってきた気がする。
「お墓参り行きましょうね。土方さんには菊の花と…」
そういう口を塞がれて。
「新選組の連中の事ばかり考えるな。
夫の事、俺の事を考えろ。」
―強引で強がりで でも時々寂しがりやさんで。
そんな千景さんが私は大好きです。
蒼く広がる空では 皆が笑ってる気がして。



皆さん。私は生涯この人と添い遂げようと思います。

だからどうか見守っていて下さい。

そう願って空を見上げる。

―これからもずっとずっと、死が2人を別つまで。



えぬえるだぜ。
しかも風間。初登場。
風間って同性にあんまり
絡ませたくないんですよね。(笑)

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