平斎 ぬるめ。斎藤君の日記物語。




―いいですか、これは少し前の斎藤君の日記です。

微睡みの瞳。


春先の微睡む午後のこと。

平助率いる八番隊と俺の率いる三番隊は共に巡察に出ていた。

一軒の茶屋を見つけ


2人同じ椅子に座り頼んだ茶を啜った。

少しすると平助が金平糖を食べたいというので頼むと

「一君は俺のことどう思ってるのさ。」

不意に伏せられた目に不安な声色おまえは何を考え俺に望んでいるのか。

「何のことだ。」

わけがわからない。

この間だっていきなり、

総司と俺だったらどっちが好きだなんて聞いてきたし。

しかし、今回は違った。いつになく緊迫した表情。

自分とこの金平糖どっちが好きかなんて聞いてくる。



―馬鹿げてる。



「人を馬鹿にするのもいい加減にしろ。今は隊務中だ。隊務に集中しろ。」

そういうと平助の瞳は 今までに見たこともないほどに潤み涙をためていた。



―何か悪いことでも言っただろうか。



「あっ、平助…。」

「は、一君…。俺、心配なんだ…。」

うっうっと泣きじゃくりながらも尚、話す。

「…俺、心…配なんだ。

一君が俺以外の誰かに夢中になっちゃうんじゃないかって。

いつか、俺は捨てられるんじゃないかって

だから…それがすげぇ怖くて…俺。

どうしたらいいのかわからなくて、だからいっつも確認しちゃうんだ。

一君の事が好きだから…。」

泣いていたので、あまりはっきりとは聞こえなかったが、言っていることはわかった。

―俺の愛がたりないということ、か。

そう解釈した。

確かに俺は一度たりとも平助に自分の口から愛を伝えたことなどなかった。

だから、か。

別に俺は平助を嫌いなわけではない、付き合っているのだからむしろ好きだ。

そうだ。

俺は平助が好きだ。

明るい表情。

鷲色の長い髪の毛。

深緑の目。

ほのかに香る優しい香り。

何もかも好きだ。

愛を伝えたいとは何度も思った。

ただ、いつも好きという感情より恥ずかしいという感情が勝ってしまう。

「平助、好きだ。」

へ?と顔をあげる平助。

「お前が聞きたくないと思うほどに何度も言おう。平助。俺はお前が好きだ。」

平助は固まっていた。

「一君、それ本当?」

平助の瞳が揺らいだ。

「あぁ、本当だ。 俺はこの先もずっと お前しか愛せないだろう。

人生初の恋が人生最後の恋になるまで添い遂げよう。

共に、永遠を。」

涙をいっぱいに溜めながら必死にこらえる平助。

「…ず、とその言葉を一君から聞けるのを、待、ってたんだ…。一君…。」

平助の涙はぽろぽろと地面に落ちては染み込んだ。

まるでその涙は平助の心を満たしているようで。

「すまない。平助。 これからはしつこいほどに聞かせてやろう。 永遠に永遠に…。」









―金平糖の話は何処に行ったのやら。

これからの2人は果たして永遠に愛し合っていくこ とができるのでしょうか。

いや、きっと金平糖よりももっと甘い関係になっているでしょう、そんな事に期待して。

今日はここらへんで終わりですよ。雪村君。

あの2人なら大丈夫ですよ。幸せな未来を築いていけるでしょう。

では今日はここまで、 お休みなさい。



新バージョン。
語り手は山南さんです。(笑)
斎藤さんって日記つけてそうですよね(笑)
てか茶屋で金平糖って頼めるんですか!?
私は知りませんよ!(笑)

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